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トーチカ通信

[ 2019.11.14 ]結婚式ができるまで

結婚式ができるまで(その4)ドーンセンター

 

私の教会は、結婚式のあとにパーティをするには狭かったので、パーティ会場をいろいろ考えたが、どこもしっくりとこなかった。ある朝、ふと思いついたのが、ドーンセンターだった。

ドーンセンター(大阪府立男女共同参画・青少年センター)のパーフォーマンススペース(上の写真)は、3年前、日本構造デザイン賞をいただいたときに、「女性のエンジニアによる小さなシンポジウム」と祝賀会で使った。https://tourisha.work/tochika/post-337

空っぽのスペースは何とでもなる。何もないから、自分流にどうにでも作ることができる。場所もいい。すぐ後ろには大阪城、歩いて通った高校の通学路にある。教会からも近い。思い立ったが吉日。とにかく予約をしに自転車で走った。還暦のお祝いから2週間たった1月の終わりだった。

10月19日(土)ならホールは空いているという。本当は誕生月の9月にしたかったが、仮予約をした。

仮予約はしたものの、有効期限までのひと月は、仕事がものすごく忙しかった。睡眠時間も少なく、結婚式どころではなかった。そもそも、十字架の前で誓いさえできれば、パーティはいらないのではないかと思えてきた。

そんな2月の終わり、出張の帰りの新幹線の通路で気を失って倒れてしまった。過労とストレスが原因だった。気がつくと、車内放送で駆けつけてくださった3人の医師と看護士に囲まれて脈をとられていた。スタッフの吉村が、私が死んだと思って泣いていた。

救急車で運ばれた夜の静かな病室で、生きている幸福をかみしめていた。生きているということは、たくさんの奇跡の上に成り立っている。再び与えられた生を大切に生きるために、結婚式をきちんと挙げよう。ささやかでもいいから、これまでお世話になった親しい人たちを招いて、祝宴を開いて祝福してもらおう。そう思った。