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トーチカ通信

[ 2012.09.11 ]桃李舎

女の職場

事務所は私を含めて女性5人の職場である。これまでのスタッフも全て女性だった。あえて女性だけと決めているわけではない。インターンやアルバイトの学生はだいたい男性なので、成り行きでこうなっている。

昨年まで、スタッフは2人だったので、今の5人という体制はうちにとっては大所帯なのだが、やはり成り行きでこうなった。

スタッフ最年長の田村は今年4月に出産して、8月から子連れで復帰した。来年4月に託児所に預けるまでは、週3日、9時半~16時半までの勤務である。パソコンの前で、赤ちゃんにお乳を口に含ませながら仕事をしている。その姿を横でながめていると、とても幸福な気持ちになる。

貴田は今年3年目。田村が産休の間は、いきなり中堅の立場になって、しんどい思いをさせてしまったが、その間に成長してくれた。自転車で5分ほどのところで一人暮らしをしてるので、つい残業が長くなる。これが日常化してはいけないと思うのだが、頼ってしまっている。

田村が産休に入る直前から、田村の大学の同級生の濱田が、仕事を引き継ぐ形で、助っ人としてやって来てくれた。よその事務所で働いていたが、たまたま結婚退職をして家にいて、そろそろ社会復帰したいと思っていたということで話が成立。今は、田村と仕事をシェアする形で来てくれている。

もう一人、4月から1年という期限付きで働いている岩田がいる。今年大学院を修了し、就職浪人を選んだが、無事、大阪市に合格した。一人でも優秀な公務員が増えてほしいので、来年の4月まで、ここでたっぷり実務経験を積んでもらう。

4人とも、生活スタイルに合わせて、勤務形態も給料体系も違うが、それぞれ話し合って納得の上、気持ちよく働いてくれている。(と思っている)

広島には、桑島という元スタッフがいて、独立して自宅で仕事をしている。ネットで計算ソフトを共有して、忙しいときはプロジェクト単位で仕事を手伝ってくれる。昨年、女の子を出産した。背中に赤ちゃんをおぶってパソコンに向かっているらしく、受話器のすぐそばでかわいらしい声が聞こえるときがある。岩田をのぞいて、後の4人は大学の後輩である。こうして仕事を続けている姿を見るのはとても嬉しい。

事務所の方針として、これまでは少数精鋭(?)で、仕事の数は絞ってやってきた。しかし、今年になって急に人が増え、赤ちゃんまでやってきて、みんなで時間を融通しながら、わさわさと働いていると、私の役割は、みんなが必要なだけの仕事を請けて、若い人に働くチャンスをつくり、気持ちよく働ける環境を整えることだと思えてきた。仕事の質を落とすわけにはいかないが、この人数でもこれまでの仕事のやり方を変えずにやっていけそうだ。

人が多いというのは楽しい。女子校ってこんな感じかな?と思う。少々の疲れやストレスは、お茶の時間に喋っていると発散できる。仕事の相談も、人数が多い方がたくさんの意見が聞けてありがたい。ちなみに、赤ちゃんも女の子。疲れて心が殺伐とするときや、気持ちが沈むときは、抱いたり触ったりしていると、あっと言う間に心がふにゃふにゃになってしまう。ベビー・セラピーの効果は絶大である。その後をまた報告したい。