福島レポート2012年夏 (その3)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所|大阪の建築構造設計事務所

トーチカ通信

[ 2012.09.17 ]原発・福島・東北

福島レポート2012年夏 (その3)

大阪から南相馬に到着して、とにかく朝ごはんを食べようということになった。仮設の福興(ふっこう)商店街。向かい合わせに同じプレハブが並んでいる。食堂、理容室、洋品店、お惣菜やさん、コインランドリー、整骨院、写真館まである。その中の『絆』という居酒屋に入った。朝から演歌が流れている。3人はカレーと揚げ物を注文していた。私は、きのこの炒め物、メンマの胡椒焼き、カレーコロッケ、ごはん、味噌汁で合計230円!「計算、大丈夫ですか?」と思わず尋ねた。どうしてこんなに安いのだろう。申し訳ない気持ちになった。

食べている間に、おばあさんがお惣菜を買いに来られた。家は山の上にあって、そこには畑もあるが、山は線量が高いので、下に避難してこられた。「ここでも畑仕事をしてるから野菜は買わずに済んでいるけど、ときどき買い物に来るの。こうして人と話をするのは嬉しいね」と言われた。山の畑は気になるから、ときどき様子を見に戻るのだそうだ。

最初に向かったのは、南相馬市社会福祉協議会が主催する「南相馬生活復興ボランティアセンター」http://minamisoma.jimdo.com/ 
玄関ホールにはちょうど新潟から観光バスで婦人団体が到着されていた。初めてのボランティアに少々緊張気味。自分たちも地震を経験しているので、仮設住宅を訪問して交流するとおっしゃった。

職員の方に話を聞いた。「ここは全国からのボランティアの受け入れ先だ。労働組合や企業体、個人参加もある。南相馬市の除染は国がやるので、ボランティアの作業は家の泥出し、片付け、草刈、仮設住宅の訪問、農作業の手伝いなど。必要人数をブログで発信している」

「南相馬市では約7万人の人口が、避難のために1万人にまで減少した。今は4万人まで戻ったが、若年層は半分に激変した。ここは超高齢化した街のモデルケースだ」

「災害前も空き店舗があり、街に人がいなかったが、災害をきっかけに、こうして人が来てくれるので、別の意味で活性化している。働くと東電からの補償が減るので働かないという人たちもいるが、原発は使わず、補助金はもらわない方針でやっていかないといけないと思っている。」

「街に人が戻るためには、除染とインフラの整備が最重要課題。安心の材料は、安全な食料の確保、医療の確立、そして雇用である。」