まち家具@高見公園@南相馬 (その1)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所|大阪の建築構造設計事務所

トーチカ通信

[ 2012.10.20 ]原発・福島・東北

まち家具@高見公園@南相馬 (その1)

やはり今のことを書きたくなったので、福島レポート2012年夏(その6)の続きで、現在に話を戻す。

南相馬市の高見公園に「まち家具」を常設できることになり、11月の施工に向けて、伊藤・萩森・岡田チームが急ピッチで設計を進めている。休日に3人で集まって、ほとんど寝ないでやっている。直径2.7mのあずまや風のファニチャーである。材料手配を手伝うことになったがお金がない。そこで三泉エンジニアリングの三原利廣さんに相談した。

三原さんは大学の先輩で、桃李舎を立ち上げるきっかけを作って下さった恩人である。1968年に大阪府立市岡高校でバリケード封鎖を敢行。高校生の学生運動では全国で最初に占拠行動を行った筋金入りの活動家である。このテのことで、困ったときにはいつも相談して助けてもらっている。数年前に病気をして痩せられたが、25年前に出会ったときとちっとも変わらない心の優しい方である。

電話をすると「わかった」と一言。その翌日には、鉄骨を下さるという野田鉄工建設に、私と伊藤立平さんを連れて行って下さった。鉄工所は京阪の萱島から車で10分のところにあった。社長の野田さんに、まち家具の話をして資材を戴きたい旨を伝えると、「よろしおま」と即答された。これは「よろしいですよ」という意味の年配の人が使う大阪弁である。ああ・・と暖かいため息がこぼれた。この大阪弁のニュアンスをどう伝えたらいいのだろう。

作業所のところに置いてある資材ならどれを持って行ってもいいと言われた。伊藤さんと、使えそうな材料を物色すると、ほとんどここで調達できそうだった。決して大きな会社ではないが全面的に協力してくださる。三原さんから、野田さんへ、じわじわと滲むように広がっていく善意の連鎖。世の中、捨てたもんじゃない。

鉄骨の加工と製作は当初、郡山の鉄工所に頼む予定だったが、結局、全面的に野田さんにお願いすることになった。そして今夜、再度、三原さんと伊藤さんと3人で野田さんを訪ね、ファミレスで図面を広げて打ち合わせをした。この感じなら、11月の17~18日には建て方ができそうだ。おまけに運搬用の2tトラックも1週間ほど貸して下さるという。お礼をいうと、「福島のことやったら、やらしてもらいます」とおっしゃった。

この朗報と図面と模型を持って、伊藤さんが明日、南相馬に出発する。いつものように格安のバスを乗り継いで。21日に高見公園でセレモニーに参加し、地元の石川建設と施工の打ち合わせをして来てくれる。2tトラックも僕たちで運転するというので心配すると「大丈夫ですよ」と笑っている。みんなスゴイ。施工のときには私も参加する予定だ。何が手伝えるかわからないけど、子供たちといっしょにできる作業を考えたい。