「野菜の肖像」 原田修身写真展@トーチカ (最終回)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所

トーチカ通信

[ 2012.12.18 ]トーチカのイベント

「野菜の肖像」 原田修身写真展@トーチカ (最終回)

1週間の写真展が終わった。民芸展のときもそうだったが、トーチカに並んでいたたくさんの作品が一斉に無くなると、慣れるまでが少しさみしい。母も同じように、さみしいと言っている。でも一つだけ、原田さんは、私が好きだと言った作品を残していって下さった。葉を広げた大根である。タイトルは「葉」。何年たっても、この写真を見ると、2012年のこの年の瀬を思い出すだろう。

町内会の皆さんもたくさんお越しくださった。写真を眺めたあと、トーチカの大きな木のテーブルを囲んで、話がはずんでいた。展示されている写真が、小難しい現代アートではなく、能勢の里山で原田さんが育てた野菜というのがよかった。来場者は気負うことなく写真の前で原田さんに質問し、感想を話されていた。しかし、トーチカをさりげなく支配していたのは、写真のもつ芸術性である。みなさんの、いつもよりほんの少しよそ行きの話し方にそれが表れている。原田さんのお陰で、1週間、トーチカが、高齢者向けの街場のアートカフェになった。

天神橋筋商店街の「あんじょう亭」で同時に開催されていた「東北の手しごと展」も大成功に終わった。私が行ったのは3日目だったが、下の写真のように、ほとんど売れていた。心やさしい人たちがたくさん買ってくれたと、主催者の仕事仲間が喜んでいた。岩手には、売り上げの90%を送ることになっている。私は手提げかばんを一つ買った。

手しごと展の最後の日に売れ残ったいくつかの作品を車に載せて、主催者の一人である菅家克子さんが写真展の終わりがけに来てくれた。トーチカで並べて小さな店開きをしたら、鏡の前でマフラーを首にあてて、どう?似合う?とにぎやかになった。すると、裂き織りのカラフルなマフラーを首に巻いた原田さんが、僕これ買いますとおっしゃった。8千円のお買い上げなり~。わいわいと大阪らしい、面白い1週間だった。

ところが一転、昨夜は選挙の報道番組を見て暗澹たる気分になった。ここまで自民党が圧勝するとは思わなかった。たまたまチャンネルを変えたら池上彰が安倍晋三に尋ねるところだった。「戦争もする、交戦規定もある、ということは国防軍の兵士に死者が出ることもある。そういうことを命令する立場になるということですね?」それに対し安倍は、「自衛隊の隊員には覚悟はできています」と答えた。眠れなかった。

原発、尖閣問題、沖縄、そこに憲法問題が増えた。小田実が生きていたらどうするだろう。井上ひさしが生きていたら。

選挙は終わったが、自民党に全てを委ねたわけではない。一つ一つの政策を吟味し、監視し、意見を言い続けなければいけない。落ち込んでいる場合ではないのだ。来年もトーチカで、やれることからやっていこう。