アイルトン・セナ|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所

トーチカ通信

[ 2013.02.22 ]未分類

アイルトン・セナ

19日、出張から帰って、テーブルの上の朝日の夕刊を開くと、この写真が目に飛び込んできた。タイトルは『君がここにいてほしい』 深夜のキッチンで立ったまま読んで、しばらく動けなかった。少し眩しそうに遠くを見つめる表情。セナはよくこういう表情をしていた。

たった1枚の写真が、いっきに90年代に連れ戻す。少年の面影を残す華奢な身体に、神が与え給うた偉大な才能。身体と才能のアンバランスな感じは、ここではないどこかに突然行ってしまいそうな予感をいつもはらんでいた。

マシンの爆音とともに、様々な記憶が蘇る。神がかったレースを何度か見た。極限まで高められたテンションの中で、彼は本当に神に出会っていたのかもしれない。

1991年のブラジルGPで、悲願の母国での初優勝を果たしたときの、コックピットの中の涙で震える叫びは、無線が拾って全世界に流れた。あの声を思い出すと今も胸が苦しくなる。

私より一つ年下だけど、セナは早生まれだから学年は一緒だ。そんなことを考えていたら、つい今、建築家の末廣宣子さんから電話があった。この時間にまだ一人で仕事場にいることに、お互いにあきれて少し笑った。セナのことを思い出していたと話すと、「私は生年月日がセナと同じなのが自慢なんです」と、深夜というのに、まぶしいくらい明るい声が受話器から聞こえてきた。

彼が亡くなって、F1はいつの間にか観なくなった。記録は塗り替えられても、アイルトン・セナは、私にとっての世界最高のレーサーだ。