映画 日本国憲法 (終わり)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所|大阪の建築構造設計事務所

トーチカ通信

[ 2013.09.22 ]憲法・平和

映画 日本国憲法 (終わり)

ダグラス・ラミスは語る。
「もちろん、国外の多くの人は憲法第9条を非現実的と呼びます。日本国内でもそういう人が増えています。そして、自分たちのことを現実主義者と呼ぶんです。『我々、現実主義者は国民の命を守るために、軍事力が必要だ』、と」

「でも、現実的になるには、まず現実を見据えなければなりません。現実とは20世紀の歴史の記録です。あれほど多くの人々が暴力によって殺された世紀はありません。人々を殺したのは、マフィアでもギャングでもありません。国家が2億人もの命を奪ったのです。ですから、巨大な軍事力はちっとも安全でありません」

「沖縄では、軍隊が民衆に安全をもたらしてくれた記憶なんて、まったくないですからね。むしろ軍隊がいることで、沖縄の人にとっては危険が増すばかりでした。沖縄が戦場になったのも、日本軍の基地があったからです。現在は米軍基地があります。アメリカの敵から見れば、沖縄の米軍基地が正当な軍事目標になってしまいます。基地は安全をもたらすことなんて絶対ないんですよ」

チャルマーズ・ジョンソンは、映画『誰も知らない基地のこと』でも同じ発言をしている。
「アメリカは世界中の132ヶ国に725の軍事基地を所有しています。沖縄には38もあります。この米軍基地の巨大ネットワークは、新しい帝国を築き上げています。昔の植民地による帝国主義ではなく、軍事領土による帝国主義をね」

姜萬吉は歴史学者で、尚志大学の総長である。
「なぜ東アジアが自らの力で、平和を維持できないのだろうか。なぜ、海を越えて来た米軍がいなければ平和が維持されないのだろうか。こういう考え方が21世紀にはもっと増えるでしょう。これはすなわち東アジアの人々の自尊心の問題です。米軍がいてこそ東アジアが平和になるのではなく、東アジア自身が平和をつくるという自尊心の回復がされていくと思います」

最後に日高六郎の言葉を引用する。
「第9条ということを積極的に、民衆レベルで世界の人々に対して発信すべきと思うんですね。それはもうまずアジアの人々に発信すべきだ。日本の中にもこういう考え方の人間がいるんだということですよね。憲法「改正」問題をね、国内問題にしちゃあだめですよ。国際問題ですからね。特にアジアの問題です。それが一番重要なことだと思うんですね」