[ 2013.09.22 ]本・映画・演劇・美術・音楽
琉球朝日放送の渾身の作品である。(公式HP http://www.hyoteki.com/)
昨日、仕事を抜けて十三の第七藝術劇場まで自転車を走らせた。上映中、大きなため息や、鼻をすする音が劇場に満ちていた。沖縄のことを私たちはきっと、全然、わかっていない。「この国はなんという国だ」という言葉を頭の中で何度も繰り返した。
ベトナム戦争のときに、沖縄の自然がベトナムに似ていることから、アメリカ軍の演習に使われていたのは知っていた。しかし、東村・高江という小さな村が、襲撃訓練用の「ベトナム村」とみなされて、村民が住民役をさせられ、戦闘訓練に巻き込まれていた事実は全く知らなかった。同じ日本人が、ベトナムの円錐形の藁帽子をかぶらされ、黒い農民服を着て、ジャングルを逃げ惑うのである。高台でパイプを加えて、見学し、笑いを浮かべるアメリカ人指揮官。当時の映像を直視できなかった。
その東村・高江の周辺に、ヘリパッドが建設され、オスプレイが、操縦者の顔が見える高さで旋回する。訓練では、今も住民はジャングルの標的とみなされている。
ヘリパッド建設に反対する村民は、老人を中心に腕を組み、座り込みを行う。沖縄の住民運動が最後の抵抗手段にしてきた座りこみである。ところが、15人の住民が「通行妨害」として、訴えられる。そこにはその場にいなかった7才の少女の名前まで含まれていた。国が国民の声は封殺すべく、圧力をかけた前代未聞の裁判が行われていることを、どれだけの人が知っているだろう。これは現在の話である。
もともとは、沖縄のテレビで放映された60分番組だったものを、全国の人に見てもらうために映画にしたという。このような番組こそ、全国ネットで放送されるべきなのに。映画のチラシには、沖縄の現実を知るだけでなく、行動してくださいと書いている。第七藝術劇場の上映は10月27日までです。