[ 2014.02.03 ]構造デザイン
友人の津田勢太さんが准教授を務める岡山県立大学で、非常勤講師として後期の授業を一緒にさせてもらっている。演習がメインの講座なので、建築計画の講義もするが、学生たちの作業を見回りながら、アドバイスするのが主な仕事である。
昨年は各自、好きな建築を一つ選んで、その構造模型を作ったが、今年はみんなで3畳の茶室をつくった。演習の課題は毎年津田さんが考える。夏前ぐらいから相談を受けるが、毎年変えるところが偉い。だから、私も毎年新鮮な気持ちで取り組めるし、何より楽しい。
この茶室は、津田さんが設計し、学生が作業を分担して施工した。いつも先生がやり過ぎると思うのだが、仕方ないかもしれない。先日、完成して、お祝いのお茶会に参加させてもらった。このスケールが心地いい。小さな建築が生み出す場の力を学生は目の当たりにし、建築を作る醍醐味を味わったことだろう。
話は少し飛ぶが、岡山には真庭(まにわ)市という、バイオマスに力を入れている町がある。産業観光部バイオマス政策課のHPには、「バイオマス事業という産業の輪で繋がる、持続可能な資源循環型の産業と暮らしを実現する『バイオマスタウン真庭』」というキャッチコピーがある。どうして産業観光部なのかというと、市内一円のバイオマス関連施設を見学できるコースを観光ルート化した『バイオマスツアー』が大人気だと聞けば納得できるだろう。日本中から見学にやってくるというのだ。
津田さんは、地域の産業と県立大の連携を意識していて、地域に役立つ人材育成のための教育を目指している。(と、私には見える。)だからといって、岡山県にとどまれというのではなく、自分が暮らす社会の中で、自分に何ができるかという視点をもたせることは、どこに行っても役立つからだ。
非常勤講師の1年目のときに、演習の一環で、『バイオマスツアー』に行った。役所の若い職員の人たちが、がんばっていて、気持ちのいいツアーだった。津田さんは、バイオマスツアーに、森林組合での伐採作業の見学と実習、原木市場、製材所、県の森林研究所の見学をプラスして、1泊2日で、「木づくし」の充実した見学会を企画した。とてもいい企画だった。この見学ツアーは、多少縮小しながら毎年開催しているようである。
そういう下地があるので、木造で茶室を作る課題を、学生は自然に受け入れていたと思う。