岡山県立大学2013度 (下)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所

トーチカ通信

[ 2014.02.04 ]構造デザイン

岡山県立大学2013度 (下)

茶室ができるまでのプロセスはこうである。まず設計。それができたら、木材の拾い出しをして、材料を地元の工務店に発注する。木材については下の写真のようなバルサの模型で、加工形状を確かめている。

全ての柱と梁を、4面ずつ製図して、そこに貫穴や仕口を書き込んでいく。製図ができたら、工房に行って、木材を必要寸法に製材する。製材した柱や梁に、自分が書いた図面を見ながら貫穴などの墨をつけ、ノミで加工する。

この大学の工房は設備が充実している。3Dプリンターも導入されたらしい。元は自動車内装部品のモデラーだった助手の中原嘉之先生がおられるので、学生たちは材料や工具の選び方など、必要なアドバイスを受けることができる。この製材機も中原先生の指導を受けて使いこなしていた。

土壁を練り、外壁の杉板に柿渋を塗る。

竹小舞を編んで、土壁を塗る。地元の工務店の方も、よく指導して下さったらしい。学生たちは、土壁の裏返しが一番、難しかったと言っていた。

外壁を貼って、屋根の板金を貼って、完成。

この茶室は、3ヶ月はここに置いて学生たちが利用するが、その後は、解体して撤去しなければならない。そこで、福島県の除染が済んだ公園に運ぼうという計画を立てている。まち家具のメンバーの伊藤立平さんも、津田さんの依頼で、非常勤講師で教えていて、先日これを見て、福島への移設を提案してくれたらしい。津田さんは予算取りを考えている。この茶室を公園で組み立て、土壁やペンキを塗るワークショップをしようと言うと、学生も「行きます!」と言ってくれた。

そういう展開になったので、急遽、構造計画の講義の最後の20分を使って、福島の現在の様子をスライドで紹介した。原発事故が起きた後のこの日本で、放射線というリスクにどう向き合うかということについて、考えていることも話した。学生たちが福島のことを考えたのは、これが初めてだったのではないかと思う。茶室ワークショップで、福島の人と交流し、何かを学び取ってくれたら、こんなに嬉しいことはない。