集団的自衛権行使容認の閣議決定(その1)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所|大阪の建築構造設計事務所

トーチカ通信

[ 2014.07.02 ]憲法・平和

集団的自衛権行使容認の閣議決定(その1)

安倍政権によるクーデターである。この屈辱に悶々として、昨夜はなかなか眠れなかった。閣議決定はしても、実際の行使までは絶対に許さないという強い気持ちが必要だ。

4月からテレビを全く見なくなったので、7月1日の18:00からの安倍晋三首相の記者会見は、首相官邸のHPでチェックした。使われていた説明用のパネルは5月15日の記者会見と同じものだ。HPからダウンロードできたので下に示す。

昨夜の会見の冒頭でも同じ説明が繰り返された。

「集団的自衛権が現行憲法の下で認められるのか。そうした抽象的、観念的な議論ではありません。現実に起こり得る事態において国民の命と平和な暮らしを守るため、現行憲法の下で何をなすべきかという議論であります。

例えば、海外で突然紛争が発生し、そこから逃げようとする日本人を同盟国であり、能力を有する米国が救助を輸送しているとき、日本近海において攻撃を受けるかもしれない。我が国自身への攻撃ではありません。しかし、それでも日本人の命を守るため、自衛隊が米国の船を守る。それをできるようにするのが今回の閣議決定です。」

「現実に起こり得る事態」というが、これは嘘である。それは、6月11日の、衆議院外務委員会で辻元清美議員が質問をし、政府はそれを認めている。http://www.kiyomi.gr.jp/blogs/2014/06/11-1121.html

彼女の質問に対し、外務省は、「戦争時に米輸送艦によって邦人が輸送された事例は過去に存在しないこと」を認めた。官房副長官は、米国政府が他国の政府に対して「すべての外国政府は、自国民の避難についての計画を立て、米国政府の手段に依存しないことを求めていること」を認めた。それにもかかわらず、また同じパネルが使われていることに驚いた。

辻本清美のHPでは、アメリカでパスポートをとりたい人が訪れる、米国国務省領事局のウェブサイトを紹介している。右上の「Emergency」<緊急>タグを開くと、下記のページが開く。「What the Department of State Can and Can’t Do in a Crisis-危機の際に、国務省ができること、できないこと」 その要点を、辻元事務所の翻訳で紹介する。

・国務省が、ある国への旅行注意情報を出しているからといって、その国にいるアメリカ市民の救出をアメリカ軍が支援してくれると期待してはなりません。
・アメリカ軍のヘリコプターや米国政府の輸送機が護衛付きで救出してくれると期待するのは、ハリウッドのシナリオに影響されすぎていて、現実的ではありません。
・米国政府の支援による、米国市民のその国からの離脱は高価なものになります。
・行先きの指定はできません。
・我々は米国市民の支援を最優先します。米国市民でない友人や親せきを米国政府のチャーター機や民間以外の輸送手段に乗せられるとは期待しないでください。

安倍首相が薄っぺらい情感を込めて、いくら訴えても、日本人である「乳児を抱く母親とそれに寄り添う幼児」は米戦艦には乗れないのである。