結婚式ができるまで(その12)司会|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所

トーチカ通信

[ 2020.05.09 ]結婚式ができるまで

結婚式ができるまで(その12)司会

キリスト教式の結婚式の進行と、茶話会の司会は中谷穣(ゆたか)さんと、さおりさん夫妻にお願いした。二人は大学時代の演劇部の仲間である。彼らの結婚式では、私がブライドメイドを務めたので、「桝田さんが結婚するときは、僕らに任せて」という40年近く前の約束を果たしてもらった。

中谷穣さんとさおりさん 撮影:NOG

当時、私たちはアングラ演劇を志向していた。アンダーグラウンド(通称アングラ)とは、1960年代に起こった、商業主義、権威主義、権力主義を否定する文化・芸術運動だ。こんな風に書くほど、やっていたことはかっこいいものではなかったが、劇団黒テントが好きで、社会人になってからも黒テントが大阪に来ると一緒に見に行った。

中谷さんは、卒業と同時に大学の友人たちと共同設計企画という機械設計の事務所を立ち上げた。フラットな会社運営や、機械の提案を通して工場の生産ラインのコンセプトを作るという発想に刺激を受けた。機械の設計にも、構造検討が必要なときがあって、桃李舎で何度かお手伝いをさせてもらったのは新鮮で楽しかった。

ロックのコンサートには二人で数え切れないほど行っている。これはとてもご一緒できないが、100kmのウルトラマラソンを完走するスーパーランナーでもある。

さおりさんは、意匠学科でグラフィックを専攻していた。パッケージデザインが専門の印刷会社に就職し、独立して「白羊舎」というデザイン事務所を立ち上げた。桃李舎の名刺に始まり、25周年のサイダーのラベル、新聞バッグ、地下発電所のロゴをデザインしてもらっている。結婚式では、テーブルウェアのカラーコーディネイトについて、アドバイスしてもらった。

10年ほど前、一念発起してロシア語を勉強し、JICAのシニア海外協力隊でキルギス共和国に行っていた。フェルト製品を海外に輸出するための、パッケージのデザイン指導である。現地での活動は2年間だったが、今もフェルト製品を仕入れて、展示・販売を通じて、キルギスを日本で紹介する活動を続けている。トーチカでもクリスマスシーズンに、数回、「ひつじの国からフェルトの冬じたく」というキルギス展を開催している。フェルト製品のファンは多く、特にスリッパはたくさんの友人が使ってくれている。

司会をする中谷夫妻  撮影:NOG

中谷さんとさおりさんとは、学生時代のかの精神を共有しているという信頼関係で結ばれているのだが、そんな硬い話でなく、とにかく気が合い、おいしいお酒を一緒に飲めるので、長いつき合いができている。うちの両親とも仲良くしてもらってきた。お互いに人生の苦境では助け合って生きてきた。結婚式の進行と司会は、(実は本人たちは忘れてた)40年前の約束を抜きにしても、この二人以外に考えられなかった。

茶話会では、中谷さんの力の抜けた大阪弁の軽妙な司会がとてもよかった。さおりさんは、お母さんの着物を着て臨んでくれた。お母さんとは二人の結婚式でお会いしている。賛美歌をきれいな声で歌われる敬虔なクリスチャンで、私が洗礼を受けたときはとても喜んでくださった。この日はご高齢のため、参加が叶わなかったお母さんのお気持ちを着物に託してくれたのだと思う。

これまでは、中谷夫妻+私だったが、これからは夫婦どうし4人のおつき合いができる。青木は中谷さんの2つ上。二人ともお酒が強く、猫が好きで、話が合う。楽しみだ。

撮影:NOG

にやった(左)とげんげん(右)