新喜多|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所

トーチカ通信

[ 2012.01.27 ]未分類

新喜多

知人に誘われて、新喜多(しぎた)という街に出かけた。環状線のすぐ外側、2時の方角にある街だ。大阪市内に住んでいると、ほとんどの用事は環状線の内側で済むので、隣の区なのに、これまで行ったことがなかった。細い路地が好きな方向に曲がって密集している。案の定、道に迷った。そのおかげで、こんな散歩道を見つけた。

たぶん昔は川だったのだろう。この写真ではまっすぐだが、先に行くと曲がりくねりながら延々と続いている、両側の木は葉を落としているが、夏には気持ちのいい木陰ができそうだ。事務所に戻って調べると、「楠根川跡緑陰歩道」という名前がついていた。全長300m。夏場は水が流れて子供や大人でにぎわうらしい。

行き着いたのは、籠本真成武さんが構造設計をした木造住宅の建築現場。このあたりは路地の両側に古い木造住宅がぎっしりと建ち並んでいる。順番に建て替えが進んでいるが、新しいものは、ほとんどが木造三階建てだ。

籠本さんは、自ら開発したWSハイブリッド工法を使っていた。柱が鉄骨で梁やその他の部材はすべて木。間口3.64m、奥行き8.1mの3階建てを、4本の鉄骨柱が支えている。両方向1スパンのラーメン構造なので、耐力壁は不要。大きなワンルームを実現している。ポイントは柱と梁の接合部。大梁は欧州アカマツの集成材。柱はH-250×125×6×9と半分にカットしたCT-125×125によるT字型の組み合わせ柱。大梁の小口にスチールのエンドプレートをスクリューねじで固定し、エンドプレートと柱フランジを高力ボルトで接合している。接合部の回転剛性は実験で求め、確認申請は許容応力度計算で通過している。

大阪市内には今も戦前長屋が残り、細い路地に老朽化した木造住宅が密集した地域が点在する。個々の家を耐震改修し地震時の倒壊を防ぐこと、個々の家からの出火をおさえることで、魅力的な路地空間もコミュニティも残すことができる。間口の狭い敷地で耐力壁が確保しにくい条件でも、安全な木造住宅を提供できる新工法は、建て替えに提案できる。籠本さんのような取り組みはもっと増えていい。私たちのグループもj.Pod工法を開発している。http://www.jpod-eng.com/index.html こちらも一度HPを見てください。