[ 2012.01.28 ]地下発電所
第17回地下発電所集会室の報告
ゲスト:中谷さおりさん
「キルギス共和国-中央アジアの小国から世界を覗く」
中谷さんは少し早めにトーチカに到着し、キルギスのフェルトで作った敷物を壁に吊るしたり、小物をテーブルに置いて、手早く会場を演出。民族音楽が流れると、一気に中央アジアの雰囲気が漂う。
国土の40%が3000m級の山で、中央アジアのスイスと呼ばれるキルギス。美しい山のスライドでスタート。職場の仲間で撮った集合写真を見ながら、他民族国家の解説を聞く。一見、日本人のようだが、よく見ると、キルギス系、ウズベク系、ロシア系の微妙な違いがわかる。青い目の朝昇竜に似た人をよく見かけるらしい。
旧社会主義国で、言論の自由が保障されていて、政治に対する抗議活動が認められている国はキルギスだけらしい。ところが、誘拐婚といって、街で見かけて気に入った女性を車で強奪して村に帰り、有無を言わさずお嫁さんにしてしまう慣習が今も残っていると聞き、一同、驚く。言論の自由があっても人権の概念はないということか。誘拐は16才の女の子から解禁と聞き、さらに唖然。中谷さんは、これも遊牧民の文化だと言われれば、何も言えなくなると話していた。現に、姑さんは花嫁に「私もそうして幸せになった」と慰め、25才を過ぎて独身の女性は肩身が狭いので、誘拐を待つ人もいるというのだから。
その他に遊牧民の暮らしの話で印象に残っているのは、彼らは耳から聞いて覚えるのが得意ということ。文字が無いから、伝達手段は口承だからだそうだ。ソウルフードの羊の話。馬を乗りこなすことが男の証で、男の子は最初ロバで練習するということ。
次は旧社会主義国の話。旧ソ連時代の都市計画が素晴らしく、緑が多くて、公園や街路樹が美しい。集中暖房システムは公共工事で行うというのも旧ソ連時代のなごり。各家庭に温水が流れるパイプが設置されていて、その温水の熱で部屋を暖めると、真冬でも半袖で大丈夫ということだ。公団アパートはソ連時代に全国統一の規格で作られているため丈夫で、築60年経ったものでも、後40年、50年は十分使えそうに見えるという。自称公団マニアの中谷さんは、アパート生活を楽しんだことだろう。
マイナスの面の紹介もあった。経済の自由化が裏目に出て、福祉、教育は後退し、身寄りの少ないロシア系の高齢者の物乞いや、孤児が増えてるという。国民には知らされていないが、核開発でウランを採掘した鉱山では、放射能汚染が深刻らしい。最後は屈託のない子供たちの笑顔のアップで報告が締めくくられた。
そのあとは持ち寄った料理を並べて、立食パーティ。キルギス製のフェルトの手提げかばんや、ショールを見ながら歓談。ユーラシア大陸を自転車で一人で横断したという西畑由香さんとご主人も飛び入り参加して下さり、解散したのは11時を過ぎていた。中谷さん、楽しかったです。ありがとうございました。