[ 2012.01.30 ]未分類
土曜日は朝から滋賀県の近江八幡で、(財)関西消費者センターが実施する「消費生活講座」の講師の仕事をしていた。昨年の会場は彦根で、大雪の中を長靴で歩いた。今年の近江八幡も雪が舞っていた。
その講座は消費生活専門相談員や消費生活アドバイザー、もしくは消費者問題に的確に対応できる自立した消費者を育成するための基礎講座で、滋賀県在住の人はテキスト代3千円で受講できる。2時間半の講座が16回。科目は衣食住、医療、法律、金融、行政など、どれも中身が濃い。私は「住まい」担当で、安全・安心をテーマに話をした。午後の講師は、40年間、消費者問題に取り組んでこられた、林郁さんだった。どうしてもお話が聞きたかったので、私も座って拝聴した。
林先生は10代からの消費者教育の大切さを話された。一般的に、消費者教育とは、対症療法的なものと捉えられがちだ。たとえば、悪徳商法やインターネットでトラブルに巻き込まれない、未然防止と事故対応ができる能力を身に着けるといったような。しかしそれは、消費者教育の一部だ。
自給自足で生活する人はほとんどない現代社会は、消費者市民社会ともいえる。「消費」を通して、地域の人から世界各地の人まで、多くの他者とつながっている。自分の利益だけでなく、他のひとの利益も守れるような行動を消費生活のなかでとれるような主体を育てることがこれからの消費者教育である。お金の使い方自体を意味あるものにしようと考えることは、消費を通して何を実現するか、何に価値を見出すかを考えることである。
環境配慮型の商品や、フェアトレードの商品を買う。弱者の犠牲の上に成り立つ企業の商品は買わないということで、市場に影響を与えることができる。自らの消費行動で社会は変わるということをあらためて考えた。高齢者が増える地域社会では助け合いがますます必要になってくることは、日々実感している。消費者市民社会で、周りの人のために何ができるか。トーチカを作ったのはそのような思考の延長にある。その話は次の機会に書きたい。
関西消費者センターの月間誌は1冊500円。年間購読(10冊で5000円)もできる。ご興味があればご一読を。値段以上の価値は十分にあり。