トーチカができるまでのこと (その4)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所|大阪の建築構造設計事務所

トーチカ通信

[ 2012.02.12 ]トーチカができるまでのこと

トーチカができるまでのこと (その4)

2010年の12月、高岡伸一さんは、ファサードのデザインを二つ返事で引き受けてくれた。こんな小さな仕事に時間をさいてもらうのは申し訳ないので、簡単なスケッチだけをお願いしていたが、お正月明けに、模型を3パターン作って現れた。建築家に相談するということはこういうことかと恐縮至極。

はじめて施主の立場を経験した。3つのパターンはどれも私の要求を満たしつつ、考えつかなかったアイデアが盛り込まれていて感心した。どれもいいのだけど、ちょっと違う。でもせっかく考えてもらったのに・・という遠慮があって、「ちょっと違う」ということがなかなか言い出せない。普段向き合っている施主の気持ちはこういうものかと初めて気づく。そういう話をすると、高岡さんは笑って、「桝田さんのプロジェクトなんですから、遠慮しないで好きなように言ってください。その方向で何ができるか考えますから」と言い、それからの半年間、そのスタンスを崩さずつきあってくれた。

最終案は高岡さんが前から気になっていたという富山の「キマド」という会社の木製サッシの窓と木のドアで作ることに決定。富山まで製作の打ち合わせに行ってもらうことになった。

その内側の木製家具のデザインも高岡さんにお願いした。簡単でいいですからというのに、高岡さんは「はいはい」と言いながら、1:10、1:2のスケールのディテールをどんどんおこしてくる。そこから先はついていけないので、おまかせし、私はテーブルや椅子、キッチン、トイレを考えることにした。

年度末で仕事が忙しい時期である。設計期間を1月~3月、着工は4月に決めた。