トーチカができるまでのこと (その5)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所|大阪の建築構造設計事務所

トーチカ通信

[ 2012.02.13 ]トーチカができるまでのこと

トーチカができるまでのこと (その5)

ネーミングはとても重要だ。今から作るスペースの性格を一言で表現する名前を考えたい。その名前が引き連れてくる世界が、この場を支配する力を持ってしまうので重要なのだ。ここは桃李舎の一軒おいて隣である。姉妹関係のスペースになるが、桃李舎がレコードのA面だとするとこちらはB面である。

自宅はRC壁式構造で、ガレージは間口が有効で3.8m、奥行きが9.6m、天井高は1.9mである。天井が低いが、床はべた基礎を埋め戻して土間コンクリートを打っているので、土間コンをはつれば2.05mは確保できる。それでも低い。横の物置に作るトイレとキッチンはさらに低く1.75mしかないので、身長175cm以上の人が使うときにはヘルメットの着用が必要かもしれない。道路より低いので、半地下のような雰囲気もある。

そこでつけた名前が「トーチカ」である。ロシア語の塹壕。「トーチカ」という音が呼び起こす記憶や世界が、ここにぴたりとはまった。

大学時代は演劇部で「夢無猫(むむにゃ)」という小劇団を作っていた。ブレヒトの作品を下敷きにした芝居をしていた劇団「黒テント」が好きで、よく仲間と見に行った。トーチカは、その頃の空気とつながっている。

そして「トーチカ」は、「桃地下(とーちか)」、「桃近(とーちか)」にもかけることができる。

次はロゴである。ロシア語そのまま、TOCHICA、TOCHIKAといろいろ迷ったが、カタカナでいくことにした。カタカナで書くと、力が抜けて、ちょっと面白い。ロシア構成主義、ノスタルジックモダンなイメージが似合う。パワーポイントの図形のコマンドを使ってできたのが、上のロゴである。

アナーキーな匂いがするけど、どこかユーモラスで、変だけど、ちょっとかわいい。スタッフの貴田に「これどう思う?」と聞くと、大うけしてくれたので、これに決めた。

このロゴの原案ができたのは3月2日。仕事の合間にこんなことばかり考えていた。ものすごく楽しかった。東北の大震災が発生する9日前である。