トーチカができるまでのこと (その12)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所

トーチカ通信

[ 2012.03.21 ]トーチカができるまでのこと

トーチカができるまでのこと (その12)

テーブルは4ヶ月経っても気に入ったものが見つからなかった。ここにぴったりなテーブルをどうやって見つけたらいいのだろう。無垢の木で作りたいが、いいなと思うものは天板だけで20万円以上した。30人くらいは座れるようにと考えると、大きなテーブル3つは必要である。一番よく使うテーブルだけいいものを買って、あとの2つは会議用テーブルで妥協することにした。

5月21日。IKEAで110cm×195cmのバーチ材突き板の会議用テーブル(30,900円)を2つ買った。妹夫婦のワゴン車で運んでもらってさっそく置いてみた。ところが、IKEAで見るといいと思えたのに、トーチカに置くとしっくりこない。浮いている。時間が経ったら見慣れるかなと思っていたら、5日後、この一枚板に出会った。

5月26日。再び仕事で高知の藤原富子さんのところに行くと、帰りがけに、この上の写真の木を見せてくださった。テーブル用だという。「あげるから、好きな寸法を言って。切るわ」とおっしゃる。テーブルを探しているなんて一言も言ってないのに!幅90cm、長さは4.6mもある。ものすごい存在感だ。家に帰って両親に写真を見せると、こんな立派な木を切るのはもったいない!トーチカならそのままの形で置けるから、譲っていただけないか頼んでみたらという。IKEAのテーブルは90日以内なら、返品がきく。トーチカのことを話すと、藤原さんは、どうぞどうぞとおっしゃって、とうとうお金は受け取って下さらなかった。

スギの一枚板の存在が大きいので、もう一つのテーブルを選ぶのが難しかった。ふとWood’sの能口秀一さんを思い出した。7~8年前にお会いしたきりだったが、木材コーディネータとして活躍されていて、今は丹波で製材所や家具工房も持たれていると聞いていた。電話をすると、一度製材所に遊びに来られませんか?とおっしゃった。

5月28日。工房には、桜、くり、けやき、すぎ、木はいくらでもあった。けやきを見ていたら、天板だけなら6万円でいいですと言われる!そんな安くしていただくのは申し訳ないと言ったのだが、「山に来るといいことがあるでしょ」と笑っておられる。サイズは95cm×180cmで作って下さいとお願いした。

この大きなテーブルが空間の質を決定している。私の意思で探したのではない。神様の導きによって出会えた。みなさんの心がこもっている。感謝して、この木のテーブルがたくさんの人に心地よい交わりの場を提供してくれますようにと祈った。