[ 2012.03.31 ]地下発電所
第19回地下発電所集会室の報告
ねじの業界は産業別に、自動車、電機、建築に分類される。フジテック株式会社は建築関連のタッピングねじを製造する会社である。藤原廣二社長にねじのお話を伺った。
タッピングねじとは、相手の材にねじが切れていなくても、自ら、グリグリとねじを切りながら入っていって締め付けて固定するねじのことをいう。
ねじの先はドリル先と尖り先の2種類がある。ドリル先は文字通り、先端がドリルの形をしていて、下穴がなくてもスピーディに入っていく。尖り先は先端までねじが切られていて先が尖っている。足割りといって、斜めにカットしてさらに鋭角にしたものもある。
最初にねじの製造工程を教わった。材料は鉄またはステンレス。ロール状に巻かれた線材を所定の寸法に切断する。次は頭。切断した直材の先を、金型に押し付けて、ねじの頭を予備成形し、続いて、十文字が凸状に浮き出た金型に押し付けて、プラスの頭部が完成する。ドリル先の場合は、次に先端をドリル状の金型でプレスする。
次にねじ部。これはねじの模様を凸状に展開図にした2枚の金型の間をローリング(押し付けて転がす)してねじを切る。次に強度を出すための焼入作業。加熱して急冷。最後は耐食性を向上させるための表面処理。めっき加工の際に水素が気泡になって混入すると、施工後に「遅れ破壊」となって頭が飛ぶトラブルがおこるのだそうだ。
知らなかったのは、ねじは切削して造るのではなく、圧造(プレス)して作るということだ。だから切りクズは出ない。唯一削るのは足割り作業だけ。
構造設計の仕事をしていると、ねじは強度が命という発想しかないが、もう一つ、いいねじの条件は早く締められることと聞き、なるほど!と思う。たとえば、2条ねじといって、2重螺旋でねじが切られていると、普通のねじは1回転で1山進むが、2条ねじなら1回転で2山進む。3条ねじなら3山とより早い。たとえば、ジャムのビンのふたなどは、ちょっとひねっただけで閉まる。きっと3条、4条になっているからだ。
その他にもねじの首の形状、頭の形状の違い、ねじの刃の角度、正しい使い方など、質疑応答を交えてたっぷり、1時間半お話いただいた。それでもまだ入門偏を終了といったところだ。深い!
続く2次会では途中から藤原社長と、品質管理の東野さん、営業の小林さんに分かれて座ってもらって質問攻め。みなさんの熱いものづくりマインドに触れ、ねじ談義は深夜0時まで続いた。フジテックの皆様、どうもありがとうございました。とっても楽しかったです。