『原子力神話からの解放』 高木仁三郎 (その4)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所

トーチカ通信

[ 2012.06.17 ]原発・福島・東北

『原子力神話からの解放』 高木仁三郎 (その4)

6月16日の午後、政府は大飯原発3、4号機の再稼働を決定した。本書の4つめは「安全神話」である。これについてはすでに崩れているので省略するつもりだったが、神話が復活したような政府の論調を聞き、もう一度整理しておこうと思う。

4.原子力は安全という神話

過去の原子炉における巨大事故を下記に示す。本書は2000年に書かれているのでその後の事故とレベルを追記する。

1957年イギリス ウインズケール原子炉火災事故 レベル5
1978年 東京電力福島第1原子力発電所3号機事故 国内最初の臨界事故
1979年 アメリカ スリーマイル島原子力発電所 炉心溶融事故 レベル5
1986年 チェルノブイリ原子力発電所事故 レベル7
1991年 関西電力美浜原発2号機事故 レベル2
1997年 東海再処理施設アスファルト固化施設火災爆発事故 レベル3
1999年 北陸電力志賀原発1号機事故 国内2番目の臨界事故 レベル1-3
1999年 東海村JCO臨界事故 国内3番目の臨界事故 作業員2名が死亡 レベル4
2011年 福島第1原子力発電所事故 レベル7(暫定)

レベル3以下の事故は国内でもこれ以外に多数起こっている。原発を議論する際は、原子力事故は必ず起こるということを前提にしなければならない。

6月8日の野田首相の再稼動宣言の中から、安全についての言葉をそのままコピーする。全文は首相官邸のHPに掲載されている。
http://www.kantei.go.jp/jp/noda/statement/2012/0608.html

『国民生活を守ることの第1の意味は、次代を担う子どもたちのためにも、福島のような事故は決して起こさないということであります。福島を襲ったような地震・津波が起こっても、事故を防止できる対策と体制は整っています。これまでに得られた知見を最大限に生かし、もし万が一すべての電源が失われるような事態においても、炉心損傷に至らないことが確認をされています』

『福島で避難を余儀なくされている皆さん、福島に生きる子どもたち。そして、不安を感じる母親の皆さん。東電福島原発の事故の記憶が残る中で、多くの皆さんが原発の再起動に複雑な気持ちを持たれていることは、よく、よく理解できます。しかし、私は国政を預かるものとして、人々の日常の暮らしを守るという責務を放棄することはできません』

何度読んでも、日本語がおかしい。最初にネットで読んだとき、誰かが書いたパロディかと思ったほどだ。原発事故のために日常の暮らしを守れなかった福島の人に向かって、「人々の日常の暮らしを守る責務を放棄することはできないので、原発を再稼動する」とはどう理解すればいいというのだ。全体を通して、言葉に人間性や誠実さを感じることができなかった。この人に私たちの国の安全を託すわけにはいかない。