福島レポート2012年夏 その(1)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所|大阪の建築構造設計事務所

トーチカ通信

[ 2012.08.19 ]原発・福島・東北

福島レポート2012年夏 その(1)

今年の2月の地下発電所で紹介した、伊藤立平、萩森薫、岡田健による、南相馬市の中心部に『まちの広場をつくる』という構想は、『まち家具@南相馬』という、より具体性を持った形で始動している。上の図は彼らが現地での説明用に作ったパンフレットである。その一部はこのHPで見ることができる。
http://www.tappeiito.com/machikagu/
大阪から彼らの車に便乗し、2泊3日で福島に連れていってもらった。この夏、福島で見たことと考えたこと、『まち家具@南相馬』の取り組みを合わせて報告する。

放射線量測定器は福島市内のツタヤで1週間、無料レンタルできるが、1つ持っていてもいいかなと思って、事前にAmazonでRADEX RD1503(ロシア製)を購入した。ちなみに事務所の中(大阪市内)の線量は0.10~0.13μsv(マイクロシーベルト)/時の間で変動している。想像以上に高かったので、大阪府のHPの「防災・安全・危機管理」のページを見ると、大阪市内ではないが府下11箇所のモニタリングポストの測定値がリアルタイムで表記されていた。どれも0.05μsv/時前後だったが、0.01~0.2の間を推移すると書いていたので異常値ではない。これを年間線量に換算すると、0.13×24×365=1139μsv/年=1.1ミリシーベルト/年になる。一人あたりの年間自然放射線量の世界平均は、2.4ミリシーベルトで、日本の一般公衆の年間の線量限度は1ミリシーベルトである。ネットで調べてみると日本の中では大阪市内は高い方だということがわかった。

話を戻す。大阪を夜の9時に出て、東京経由で南相馬に向かった。余談だが、私は東京の首都高速を知らない。東京を高速道路から眺めるのを楽しみにしていたが、なぜか、入り口でぐるぐる回りながら地中深くにもぐってしまった。伊藤さんが運転していたが、こんな地下道は知らないという。新宿や池袋を通って、結局、東京都内は全て地下道で通過した。これはこれですごい空間体験だった。

ハードスケジュールを乗り切るために車内では眠るつもりだったが、音楽を聴きながらほとんど4人で喋り放しで、結局1~2時間しか眠らないまま福島に入った。郡山を通過したのが翌朝の7時半。車内での線量は0.43μsv/h。やはり高い。9時前に川俣町を通過、12号線で飯舘村を横断する。車中でも0.37、0.45、0.53とどんどん上がっていく。窓の外で測定すると1.88である。ところどころで除染作業を見かけるが、生活者は見当たらない。山が深くなるとさらに高くなる。石ポロ坂のあたりは車内でも0.9~1.1だった。萩森さんのメモによると昨年の同じ場所では0.8~2.5なので、少し下がったということだろうか。南相馬市内には9時半に到着。12時間半のドライブだった。