半栽培の環境社会学-これからの人と自然 (終わり)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所

トーチカ通信

[ 2013.02.11 ]森・里・海

半栽培の環境社会学-これからの人と自然 (終わり)

この本をこれだけ詳しく取り上げたのは、それぞれの著者が、それぞれの専門の分野から、現代社会の在り方に警告を発し、人間の幸福のために、どのような社会のしくみが望ましいかということを、はっきりと述べているからである。御用学者に成り下がらず、研究のための研究ではなく、よりよい社会の実現のために、声をあげることを目指して編集されていることに心が動かされたからである。

出版は東北の大震災前の2009年だが、震災を契機にまとめたのかと思えるほど、今の時代に必要なものの考え方が書かれている。

「独り占めすることは恥ずかしいこと」は昔の日本人が普通に持っていた感覚である。「所有」についての考察は、エネルギー資源、広がる格差問題、領土問題にも繋がる。

ローカルルールでいえば、私の専門においても大いにあてはまる。地域に根ざした伝統的な木造建築物の設計法がそうだ。木という自然素材、風土に合った構法は、全国一律のルールで規定できるものではない。とくに木造住宅のような小規模で暮らしに密着した建築物は、地域ごとにその設計法があり、審査の方法があってよいと考えている。全国一律のルール作りの覇権争いに忙しい世の中の学者や、地域の文化や産業に目を向けず、中央を向いて審査のための審査をする役所の人達にはぜひ読んでもらいたい本である。

そのような感想を塙さんに送ると、返事が届き、このようなことが書かれていた。
編者の宮内泰介さんは、アジアを歩き回って『ナマコの目』や『バナナと日本人』書いた、
故鶴見良行さんと、ヤシ研やエビ研などの市民活動をしていた方です。
彼の慧眼とソロモンや北上で培った半栽培への愛が、執筆者の個性を引き出す形になっ
たのでしょうか。鶴見さんは、かつて小田実さんとベ平連で活躍した方です。

なるほど!と思った。塙さん、今の私に必要な本をいいタイミングで戴きました。ありがとうございました!