[ 2013.05.05 ]本・映画・演劇・美術・音楽
憲法96条の改正を叫ぶ安倍晋三が連日TVで映し出される。高揚したその瞳が照準を定めているのは憲法9条の改正である。ネット上には改正を支持する右翼的な書き込みが急速に増えている。日常的にそれらを見るうちに、どんどん気持ちが塞いでいって、ほんとにこのGWの前半は暗かった。
ところが、5月3日(憲法記念日)の朝、朝日新聞の朝刊を開くと、見開き2ページの意見広告『武力より平和力、9条の力』が目に飛び込んできた。この意見広告は、8,150人の賛同金で実現している。たくさんの見知らぬ人々の良心が胸の中に流れ込んできて、冷えていた体に体温が戻ってくるような感じがした。意見広告には同志を励ます力もあるのですね。
気持ちを立て直して、どこかでやってるはずの憲法関係の集会を検索しているうちに、この緊急上映を見つけた。http://www.theater-seven.com/2013/movie_kenpo.html
初日の今日、自転車に乗って、十三のシアター・セブンに観に行ってきた。いつもはガラガラなのに、チケット売り場に見たこともない行列ができている!年配の夫婦連れが多いが一人で来ている人もあちこちで見かける。日本はまだ大丈夫だと思っていたら、私の名前を呼ぶ人がいる。大学時代の友人だった。30年ぶりである。彼女は公害研究会のメンバーだった。私は演劇部に所属していたが、演劇部は人数が少ないので、公害研と新聞会の部室を使わせてもらっていた。そのあたりはメンバーが重なりあっていて、何かイベントがあればいっしょにやっていた。こういう映画会で会うなんて、彼女も変わってないなと嬉しかった。
映画の感想は後日に書くとして、今日はこの案内です。時間が無いなら、2本目の「映画 日本国憲法」だけでもどうぞ見てください。監督はジャン・ユンカーマン。75分は短いけれど、貴重なインタビューの収録です。ジョン・ダワー、ノーム・チョムスキー、ベアテ・シロタ・ゴードン、チャルマーズ・ジョンソン、日高六郎、ハン・ホングのインタービューのハイライトが濃縮されています。下の本を買いました。ここにはインタビューの全文が載っています。
2005年、自衛隊のイラク派兵が決まった際に、今日と同じような憲法改正の議論があった。そのニュースは海外でも関心を集めて、この映画はその年に製作されている。日本国憲法が海外の知性によって「世界の中の平和憲法」として語られている。決してアメリカに押し付けられてできたものでないことは、これを見ればわかる。押し付けられているどころか逆である。今、9条を変えて日本の再軍備を望んでいるのはアメリカなのだから。