[ 2013.11.20 ]原発・福島・東北
「東北の手しごと展」が今年も開催された。岩手県の仮設住宅や作業所で作られた布の裂き織りのバックやポーチなど、普段の生活で使える小物を販売し、売り上げの9割を返すという東北支援の活動である。
昨年、被災地を訪れた菅家克子さんら大阪の建築家仲間が、その手仕事に魅了され、一念発起。天神橋商店街で開催した。このブログでも紹介したがhttp://tochikaima.exblog.jp/16715175/、大盛況で、それを見ていた上田雅代さんが、「1回で終らせたくない。今年は岸和田で引き継ぐわ!」と手を挙げて、昨年のノウハウを伝授してもらい、4人の有志で開催にこぎつけた。
会場は岸和田商店街にある「オハラ洋装店」の1階。NHKの朝の連ドラ「カーネーション」のモデルとなった小原綾子さんのお店である。今は記念館になっていて、主人公の糸子が着ていた衣装や昔のスタイルブックが展示されている。あのドラマは糸子に感情移入して見ていたので衣装が懐かしかった。
さて、今年の手仕事展。感心したのは、作品に復興支援の商品だからという甘えがないこと。ほんとに気に入って買ってほしいという気合いが感じられる。もともとデザインセンスは高いのだけど、さらに去年のお客さんの意見を参考にして商品改良をしているのだ。たとえば、手提げかばんはA4のファイルが入るものが増えたし、外側にファスナー付きのポケットがついた。携帯電話のポーチはスマートフォンが入るように一回り大きくなっている。
この日は昨年の主催者が、「ハックの家」の理事長の竹下美恵子さんと友人のゆうさんを囲んで岸和田城のそばの居酒屋「がんこ」で懇親会を開いた。風の布パピヨンの斉藤さんも来られた。ハックの家は福祉作業所で、竹下さんが50才を超えて立ち上げた。身障者は家族が隠して外に出さないという土地柄である。竹下さんは一軒ずつ家を訪ねて外に引き出し、マイクロバスで作業所への送り迎えをしたという。開所して17年。作業所の皆さんの裂き織りの色使いは素晴らしく、確実にファンを増やしている。
ハックの家は田野畑村にある。NHKの「あまちゃん」で、北三陸鉄道で被災したユイちゃんが線路を歩いた、あの舞台である。国土強靭化計画という名のもとに海岸線に築かれる巨大な防波堤については、阻止したいと言われた。これまで現地の人で、必要だという人に出会ったことがない。ほんとに、一体誰のための防波堤というのだ。
先日、村長選挙があり、村役場を退職した新人が、村民総意のまちづくりを訴え、現職村長を破って6票差で勝ったという。竹下さんの声が喜びで震えている。投票率は87.4%ということだから、激しい選挙戦だったのだろう。村民政党の誕生、平成の一揆といわれているらしい。復興が課題の地域で現職が敗れたのは確かに事件だ。
竹下さんの心の強さに、こちらが力づけられた。復興支援は慈善の段階は過ぎている。対等の立場で支えあう関係を続けたいと願う。
売れ残った商品の一部をトーチカで預かってます。もし近くに来られたら、のぞいてください。