[ 2016.09.17 ]構造デザイン
女性のエンジニアのシンポジウムを思いついたのは伏線があった。昨年の10月17日にトーチカで開催した構造女子会である。JSCA九州支部の「なでしこ会」という女性の構造技術者の会から浅田正子さん、松田千恵さん、小関誠子さんが大阪に来られるので、それなら大阪のJSCAの女性会員にも声をかけてトーチカで懇談会をしようと考えた。
声をかけたのは竹中工務店の須賀順子さんと日建設計の高達暁子さんと桃李舎の貴田。そして特別男性枠で新谷眞人さんも。たまたま前日に電話があって、女子会のことを話すと、僕も参加したいとおっしゃって、急遽、東京からお越しいただくことになった。
19時開始で、トーチカで作った食事と皆さんのお土産でにぎやかなテーブルになった。最初に新谷さんから30分のレクチャーがあり、その後は一人ずつ、用意してもらったスライドで自己紹介をしてもらった。20代から50代まで年齢も違うし、所属する組織や仕事のスタイル、関わる建築の内容も違うので、それぞれ興味深く、いちいち反応していたら話が深まり、一人10分のはずが長引いて、「もう遅いのでそろそろお開きにしましょうか」と言ったのが深夜1時半をまわっていた。
自己紹介の前に、浅田さんがなでしこ会の紹介をされた。例会は毎月1回、会場はファミリーレストラン。第O週のO曜日のO時と決めているので、一人でも二人でも開催するというゆるやかさが長続きの秘訣らしい。職場では何となくしづらい構造上の質問も、そこではできて、組織の垣根を超えて教えあっているとのこと。
そこまでは皆さん「ファミレスで?(笑)」とか小さく突っ込みながらなごやかだったが、「いつもフリートークのテーマは『私と仕事』です」と言われたときに、新谷さんが「どうしてそれがテーマになるの?男にはわかんないな」とおっしゃって、そこから急に場が発熱したように思う。
皆さんが用意されていた自己紹介のスライドは担当した建築の写真で、構造について説明されるのだけど、そこに「私にとってこの仕事は・・」という切り口が加わる。それはキャリアの形成上での位置づけだったり、組織の中での立場を冷静に分析する視点だったり。ひとつの言葉が、それぞれの胸の中にあった想いに響くと、我が身に置き換えて話し始めるので、どんどん会話がディープになる。結婚や子供にも話が及ぶ。ほとんど全員初対面だったのに、お互いの率直さ、心の開き方に驚いていた。
これまで意識することがなかったが、この夜、私は女性どうしの共感力というか、寛容さに心を打たれていた。翌日から「時間が足りなかった」「もっと話したかった」という感想を乗せた長文のメールが飛び交って、それにも励まされた。図らずも生まれたこの交流に、浮かび上がった言葉は「世代間の連帯」だった。「連帯」という言葉はひと世代前の「運動」のイメージがあり、それとは違うのだが、別の言葉が見つからない。
ドーンセンターという昔の婦人会館を祝賀会の会場にしようと思ったときに、ハッと思い出したのがこの構造女子会だったのである。