[ 2017.09.05 ]構造デザイン
6人のプレゼンは、要約では伝わらなくて残念なのだが、どれもユーモアがあって、常に笑いが起こった。前半の若い3人にはパワーがあるが、やはり年の功で後半の3人は話が上手い。場が上手く熱したところで私も加わり、座談会となった。司会は金尾伊織さんと北尾聡子さん。これも、要約して紹介する。以下、敬称略。
司会者「まず若い人から先輩に聞きたいことは?」
貴田「仕事を続けるモチベーションは何か?」
田村恵子「金箱さんが独立されたばかりで、金箱さんのエネルギーに巻き込まれた。(笑)わけがわからないまま夢中だったが、一つひとつの構造設計は楽しかった。嫌になったらやめようと思っていたけど、やめなかったのは、仕事が楽しかったから」
司会者「若い人へアドバイスを」
武居「皆さんは、私の若い頃よりずっとエネルギッシュで驚いた。あなたたちなら大丈夫と言いたい。構造設計は特殊なスキル。自転車と同じで、一度乗れると忘れないから、離れてもまた戻ることができる。構造設計をしている人口も少ないので、育児とかで一旦離れても、働く場所はある。」
須賀「30代は、仕事はがんばっているけど私生活ではモヤモヤしていた。結婚して子どもができてからの方が仕事に打ち込めた。こんなことなら、もっと早く結婚すればよかった。若い人には、今がこのときと思ったら躊躇せず進んでほしい。そういうことが今だから言えるようになった」
司会者「独立した桑島さん、何か聞きたいことは?」
桑島「今は子どもが小さいので、仕事と両立できているが、子どもが成長するとどうなっていくのか想像ができない。自分の努力で対処できない事態はどうすればいいのだろう」
田村恵子「仕事のペースはどうであれ、とにかく続けること。続けていると、10年前には想像もできなかった自分になれて驚いている。ペースは人それぞれでいい。とにかく続けることが大事だと思う。」
桝田「最近、大学でも女子学生のために話す機会が増えたが、私は独身で子どももいないので、今のような質問にふさわしい答えはできない。この企画を考えたのは、20代、30代、40代、50代と並ぶことで、10年、20年先のロールモデルを見つけられると思ったから。でも、皆さんのプレゼンを聞いていると、個性的でしっかり自分を持っている。そしてユーモアもある。皆さんならロールモデルは自分が作るという心意気でやれるはず。今日、あらためて、女性の仕事として構造設計はいいなと思った。先のことは悩まなくてもそのときに考えれば大丈夫」
田村愛「いつか独立したいが、経済的な不安がある。それで一年前から株を始めた。(笑)そういう不安はなかったか?」
桑島「どんな独立の形をイメージしているかによって違うので、私の形が参考になるかどうかわからないけど・・。私はどんな仕事でも、たとえこなすだけのような仕事でも請けることにしている。最初にお金ができたら小さなソフトを一つ買う。そのソフトを使って仕事をしてお金ができたら次に必要なソフトを買う。そうしてちょっとずつ、ソフトをそろえると、だんだんと事務所が廻るようになってきた。一人ならこうしてやっていけるが、スタッフがいるとどうなるかイメージできない」
武居「スタッフがいると不安は倍増する。(笑)私は高校生の頃から、吉野家でバイトをしていた。相当なレベルまでいった。いざとなったら吉野家がある(笑)というのを心の支えに、思い切って会社を作った。大学時代の友人も同じように、いざとなったらコンビニのバイトがあると言っている。その言葉にも励まされた。」
桝田「2年前から、事務所の売り上げを公表することにした。売り上げ、経費、私のお給料はこれだけで、みんなにはこう分配しているけど、少ないと思ったら、どうすればいいか一緒に考えてと言っている。どういう仕事をしたいか、どういう仕事をどういう形ですればいいのか、皆で相談している。経営者の責任を放棄しているかもしれないが、気持ちが楽になった。そうすればいいのでは?」
金尾さんと北尾さんの司会は、控えめだったが、うまく場をリードし、みんなに均等にマイクがまわるように進行してくれた。事前のメール打ち合わせで、6人の個性も把握してくれていたので、さりげない言葉のフォローでみんなの緊張をほぐしてくれたと思う。こうしてシンポジウムは終了した。