
[ 2026.01.12 ]本・映画・演劇・美術・音楽
大阪が生んだ我らのDJ、ヒロT(ヒロ寺平)がラジオに帰ってきた。FM COCOROの朝の番組で、ある日突然、引退宣言があって、5年間ラジオから消えていたが、昨年、NHK FMに『ポストカードミュージック』という番組を引っ提げて、戻ってきたのである。NHKに企画書を持ち込んで実現したと言っていた。
リクエストは、葉書に手書きでという昔ながらのスタイルに限定。年に4回ぐらいで、不定期な開催である。それでも、どこかで何かをしながら聴いている無数のリスナーと一緒に、間違いなくみんなが好きな音楽を一緒に聴ける時間が戻ってきたのは、ものすごく嬉しい。このブログは生放送を聴きながら書いている。今朝は6時に夫に起こされて、番組スタートの7時20分から聴いている。ここまですべて洋楽。ほんとは年賀状のボツ案2つ目を書くはずだったが、ヒロTの声を聴いたら、こっちを先に書きたくなってしまった。

ベランダにアンテナを伸ばしたCDラジカセ
ヒロTとの出会いは、私が構造設計事務所で修行をしていた20代。事務所ではFMラジオがかかっていて、そこで初めて声を聴いた。ヒロTがかけるのはいつも洋楽だった。私はラジオの横に座っていたから、好きな曲が流れるとこっそりボリュウムを上げていた。独立してからも毎朝、ラジオの電源を入れて一日が始まる。私の人生は、ラジオの音楽とともに在ったのである。
そんな人たちがこの番組のリスナーなので、ほとんどが同世代。夫はヒロTと一つ違いだ。だから葉書を書いた人のメッセージに共感できるし、その曲をリクエストする気持ちがわかる。ヒロTは準備する時間がたっぷりあるから、構成は考え尽くしている。好きな曲がちょうどいいタイミングでかかると、自然に、「ヒロT、ありがとう!」っていう言葉が口からこぼれる。今流れているのは、映画トップガンの挿入歌、ベルリンの『Take My Breath Away』。1986年の曲だ。一緒に、気持ちよく揺れているリスナーを感じながら聴く、この共生感がとてもいい。
音楽の好みは10代に聴いた曲で決まるらしい。好きな曲、ベスト3を思い浮かべると確かに10代から聴いていた曲だ。だから、「ポストカードミュージック」の同世代のリスナーがリクエストする曲が心に届くのは当然なのだ。
桃李舎の開設と、FM802の開局は同じ1988年。その第一声がヒロTだった。開局記念で刷った黒田征太郎のポスターを、たくさんの人の目につくところに貼ってくれる人に差し上げますから、取りに来てくださいと聞いて、A1の図面を入れる筒状のケースを肩から下げて、自転車で南森町のスタジオにもらいに行った。クレパスの太い自由な線で、ニューヨークの摩天楼を描いた明るいポスターは、桃李舎のまだ何もない壁に輝いて、仕事の注文があるかどうかもわからないのに、不安のかけらもなく希望にあふれていた私の相棒だった。ここに紹介したいけど、日に焼けて色があせたから、2年前に外してしまった。壁の色がポスターのところだけ焼けてなかった。
今流れているのは、ビリー・ジョエルの『Just the Way You Are』。では、この曲を聴きながら今朝はお別れです。どうぞよい一日を。また読んでください。