[ 2019.11.06 ]結婚式ができるまで
すべては「ウェディングベール」から始まった。
今から遡ること約2年。2017年6月にスタッフの貴田祥子が結婚した。そのときのブログがこれである。https://tourisha.work/tochika/post-348
最近は、結婚式の前に記念写真を撮る「前撮り」が流行らしい。その写真の貴田があまりにも綺麗だったので、つい披露宴の帰り道で、「私も、写真、撮っておきたいな・・」とつぶやいたのを、元スタッフの岩田真奈美が聞いていた。
それから3ヶ月後の2017年9月、私の誕生日に、貴田と岩田から、もらったプレゼントが、このウェディングベールなのである。なんと、二人の手縫いである。形を決めて、布とレースを買って縫ってくれたのだそうだ。
その日は彼が大阪に来てくれることになっていた。ベールはピンクの袋でラッピングされていたので、最初は何かわからなかった。「これは青木さんと二人で開けてください」と手渡された。
二人で開けて、顔を見合わせた。あのとき「撮っておきたいな」とつぶやいたけど、ウェディングドレスを着ようとは考えていなかった。イメージしていたのは昭和の写真館で撮る家族写真のようなもの。そもそも、結婚なんて、まだ二人の間では話題にも出ていなかった。
ところが、天使の羽根のような軽やかなベールを手に取って、とまどいながらも、小さくはしゃぐ私を見て、彼はこれを、スタッフの二人からの強力なメッセージ(プレッシャー)だと受け取った。
桃李舎にはベビーブームが来ていた。既に2人の娘を産んだ田村沙映に続いて、岩田真奈美、濱田たえ子に赤ちゃんが生まれ、その2年後、貴田祥子、宮本悠子も続いた。事務所は春のような、小さな命の躍動感に満ちていた。
そんな穏やかな幸福感も作用したと思う。二人の時計の歯車は、ゆっくりと結婚にむかって回り始めた。