[ 2012.01.19 ]地下発電所
この看板をドアにかければ、いつでもどこでもドアの向こうが地下発電所集会室になる。デザインはグラフィックデザイナーの中谷さおりさんがプレゼントしてくれた。今日はこの話。
2年前のある日、BMC(ビルマニアカフェ)を主宰する友人の高岡伸一さんから、鉄道広告社というレトロなビルの社長室を借りませんか?という話があった。ビルは自転車で10分のところ。一目で気に入った。昭和を感じさせるインテリア。ここを友人と飲める応接間にしたい!と夢が膨らんだが、そんなゆとり、あるわけがない。諦めたが、そこから発想が膨らんで、普段あまりお会いすることのない方から、普段あまり考えないようなテーマでお話しいただき、フランクな座談会のようなことをしてみたいと考えた。
大阪市立大学の特任講師でもある高岡さんは、1ヶ月に1回なら、大阪市大の都市研究プラザが管理する船場アートカフェを会場として貸して下さるという。座談会の参加者は、年賀状を見ながら、普段あまり会わないけれど、気になる人に声をかけた。何かをデザインしているという点が共通の人たちだ。
会の名前がなかなか決まらなかったが、参加者名簿の一言紹介を書いているうちに、会のイメージが湧いてきた。参加者に共通する雰囲気を感じたのだ。一つの世界に安住していないこと。本業を持ちながら、それとは別の活動の場があったり、昼と夜では別の顔があったり。怪しくて不思議なエネルギーを感じた。会場の船場カフェは繊維問屋が並ぶ街の小さな地下室。そこもなんとなく怪しい。
そこで思い浮かんだ会の名前が「地下発電所」。要塞のような地下で生み出す巨大なエネルギー、またはもっとこじんまりと、地味なモーターの音がする機械室のイメージでも構わない。ひんやりとした異次元の空間で、良質のエネルギーを作り出すことができれば素敵だ。ゲストは講師ではなく、お客さんとしてお招きし、30分の話題提供のあと、みんなで一緒に話すことを大切にしようと決めた。
順調に回を重ねていた折、参加メンバーの小松慎二さんが、中古ビルを購入し(すごい!)、改修しているが地下室があるという。そこもまた雰囲気があった。ご厚意に甘えて第9回~11回まで使わせてもらった。地下発電所は移動空間。ドアに看板をかけるだけでいい。
そうこうするうちに、もっと近くに欲しくなった。トーチカを作って、第12回目からここで開催している。トーチカは「桃地下」(とーちか)も、かけている。トーチカの本来の由来はまた別の機会に。