トーチカができるまでのこと (その14)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所

トーチカ通信

[ 2012.03.25 ]トーチカができるまでのこと

トーチカができるまでのこと (その14)

6月15日。正面の窓とドアが富山から到着する朝、シャッターを取り外した。不要になったとはいえ、まだ使えるものを壊すのは気持ちのいいものではい。25年間、故障もせずに家を守ってくれたシャッターにカッターが入ったときは胸が痛んだ。産業廃棄物としてトラックに積まれるときに、父が「ごくろうさん」と声をかけてちょっと撫でた。続いて母も私もちょっと撫でた。シャッター一つでさえこれだ。津波の映像が頭をよぎる。これが大切な家であり、かけがえのない人であればその無念、心の痛みはどれほどのものだろう。

木製サッシとドアは婚礼家具のように、大きなトラックで大事に運ばれてきた。ご近所の皆さんが、外に出てニコニコとこちらを見ておられる。朝早くから待機してくれていた佐川さんに、「誤解されてるかもしれませんねぇ・・」と話す。さっそく設計者の高岡伸一さんが入念な受け入れ検査を始めた。運転手は桃李舎の元スタッフのお兄さん。石川県の運送屋さんに勤めていると聞きお願いした。母が運転手さんの朝ごはんの用意に上にあがった。

富山に本社があるキマド株式会社の木製サッシとドアは高岡さんが薦めてくれた。富山まで出かけて実物を見、社長に話を聞いて「やっぱり、いいと思いますよ」と報告してくれた。見積りが高かったのであきらめるといっても高岡さんは、いくらまでだったら出せます?と言って考えてくれる。品物の運搬と、取り付け工事はこちらでするということで見積りから外し、なかなか連絡のとれない社長を新大阪駅でつかまえて図面打ち合わせを行い、55万円で話をつけてくれた。

ドアの外観は鍵穴が一つ見えるだけ。ドアハンドルが無く、ドア枠も丁番も見えない。ドアハンドルは内側にもない。外から入るときは、ドアの右サイドにある枠に指を引っ掛けて開く。内側から出るときは好きなところを押すだけでいい。たとえば両手に物を持っていても、肩でドアを押すだけで開く。既成概念を覆す美しいドアだ。窓は突き出し式。アルミ枠がとても細い!このファサードとその内側の木製建具が高岡さんのデザインである。

窓の内側は木製でアルミ枠は見えない。オプションが充実している。ブラインドは不織布でできたハニカム構造。開閉は上からも下からもできるので、視線を自由にコントロールできる。ブラインドを窓に固定したまま開くと、庇になるという優れものだ。木製サッシの塗装はシッケンズ。

網戸は細かいアコーディオン式になっていて、左の内側に納まる。

インターフォンをドアの左手の壁に内蔵してボタンしか見せないのは高岡さんのこだわり。