トーチカができるまでのこと (その17)|トーチカ通信|桃李舎一級建築事務所|大阪の建築構造設計事務所

トーチカ通信

[ 2012.04.07 ]トーチカができるまでのこと

トーチカができるまでのこと (その17)

トーチカは完成したが、この物語はオムニバス形式でまだ続きがある。時間を2011年4月の初めに戻そう。そして舞台をトーチカからモータープールに移す。

モータープールにj.Podを置いて、小さな村を建設する計画は、トーチカの工事と平行して動いていた。

4月に考えていたことは、この計画が建築基準法上、合法であるか否かだ。敷地は商業地域で準防火地域。既存建物は鉄骨平屋の山型ラーメンのモータープール。その一部に2階を増築して事務所(桃李舎)に使っている。

このモータープールの空きスペースに、10㎡の木製の箱(j.Pod)を2つ置くときに、確認申請が必要かどうかを友人に相談した。①j.Podは土間に置くので床面積は増えない。②j.Podは天井を貼るだけで屋根がないので建築物に相当しない。③建築物ではないので、用途も発生しない。したがって建築確認申請は不要という結論に達した。

次に、消防関係。建築確認とは別に、所轄の消防署の指導を受けなければならない。指導要項の全国統一マニュアルはなく、所轄の署に任されている。消防の査察で問題になるのは①非難経路と②消火器等の消防用設備の適正配備と機能保持状況のチェックである。

①については2方向の非難経路が確保されている。②についても消火器は常設している。心配していたのは、Podが建築とみなされて、異種用途の混在のために防火区画が要求されないかということだった。特定建築物ではないものの中に、今より危険側の用途でないものが挿入されるだけなので、防火区画は不要と説明し切れると判断し、消防署には事前相談無しに着工することにした。

結論からいうと、完成間際に消防署の抜き打ち検査があった。注意されたのは、2階の桃李舎に消火器を置いていなかったことと、平成23年4月に消火器の点検基準が改正されたので、モータープールの消火器の定期点検をして報告書を提出するようにという2点だった。いきなり消防自動車が止まったので、高岡さんと佐川さんと3人で固まっていたが、よかった、よかったと胸をなでおろした。