[ 2014.03.21 ]原発・福島・東北
2011年3月25日の地下発電所の集会には11人が集まった。まだトーチカはなく、タツタビルの地下室を借りていたときだ。非常時だったから、電球が灯る地下室は大きな防空壕のように感じた。とりあえず、一人ずつ喋ろうかということになった。写真は無いが、メモしたキーワードを元に、記憶に残っていることを書いてみる。
「原発事故の情報は、何が真実なのかわからない。政府や東電の大本営発表のような情報は信じられない。これまで使ってなかったが、フェイスブックやツイッターなどのソーシャルネットワークを使って情報を集めている。でも、正しい情報でもわかりにくければ伝わらないし、間違っていても発信力があれば広まってしまう。チェーンメールで、間違った噂も流れてくる。今は、誰が発信しているかで、見極めている。」
「誰も遭遇したことがない事態で、マニュアルがない。一人一人が自分の頭で考えている」
「原発事故に対する日本政府の対応を、外国のメディアが『思考停止状態』と言っている。パニックを恐れているのか、事故の重大さをできるだけ軽くみせようと『ただちに健康に影響はない』という言葉を繰り返している。最悪の事態を予測したくないという心理が、思考を停止させてしまっているのではないだろうか」
「原発事故の最後のシナリオがハードランディング過ぎる。構造設計にあてはめると、手の施しようがない事態になったときに、ソフトランディングさせる方法があるかどうか。そういう耐震評価の指標が今後必要なのかもしれない。」
「阪神大震災はある程度地域が限定的だったから、周辺の地域がサポートできたが、今回の地震は被害が何県にもわたり、復興に何年かかるかわからない。原発事故の状況によっては、大阪が首都機能の一部を担うことになるかもしれない。首都機能が同時被災しないバックアップ体制が必要になりそうだ。」
「津波で役所の住民情報を保存していたサーバーの被害が相次いでいる。バックアップという意味では、情報のクラウド化が進むだろう。」
「民間レベルでどのようなバックアップができるだろうか。夏には計画停電や輪番停電が行われるだろう。関西の節電が役に立つかどうかはわからないが、とにかく節電する。水の買占めなども控えたい。脱原発を国民全員で議論すべきだ。」
「義捐金をどこに送るのが有効なのかがわからない。赤十字に寄付したが、正しかったのかどうか。ピンポイントで、被災者に届く方法があるのだろうか」
「チェルノブイリの事故が発生したとき、日本では原発に反対する運動が確かにあった。高木仁三郎の本をテキストにした勉強会もあった。原子力を正しく理解するために、神奈川県の教育委員会が高校生のための教科書を作っていて、それを回し読みした。そのような気運が、いつどのように消えていったのかわからない。強い後悔がある。原発に依存しない暮らしへ社会全体が転換しないと、同じことを何度も繰り返すだろう。」
その日の参加費は、「福島県震災対策本部」に寄付した。それからちょうど6ヶ月後の2011年9月25日に、福島に行った。